ただのメモ帳

個人的なメモなので、誰の役にも何の役にも立ちません

ベルリンに一人死す | ハンス・ファラダ(みすず書房)


ベルリンに一人死す
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母の本音

「母」は年をとればとるほど、子どもにさえも気を遣うようになる。私も等しく年をとり、そんな母の姿に気づくようになった。
お互いの本音が見えず、気が付けば近くにいる他人のよう。この投稿が私の母と私の関係に激しく似ていて、胸がつまった。

母に連絡がつかず、一抹の不安を抱いて実家を訪れると、冷たくなった母が居間で横たわっていた。検視の結果、死後2日と診断された。孤独死だった。

先週、実家に寄ってさえいれば、こんなことにはならなかったのに。通夜や葬儀の準備であわただしい中、私は自分を責めた。

4年前に父が他界してから母は独り暮らしだった。ひざの状態が悪く、外出もままならなかった。

そこで、歩かないで済むバスツアーを見つけては、母を連れ出した。歌舞伎座鑑賞、隅田川下り、スカイツリー、熱海海上花火大会……。帰路では、母は決まって、「もういいよ。迷惑はかけられない」と言った。せっかくの休日を母のために使っているのに、と思うと、怒りを覚えることもあった。

しかし、通夜の席で意外なことを聞いた。叔母たちが、「お姉ちゃんは、光恵に歌舞伎に連れて行ってもらったとか、スカイツリーに行ったとか、とってもうれしそうに話していたんだよ」と教えてくれたのだ。

母の本音に全く気づかなかった愚かな娘。そんな娘を母は許してくれるだろうか。今でもまだ、私は自分を責め続けている。

(ひととき)気づけなかった本音 | 朝日新聞(2015年9月8日)

独りでいるより優しくて | イーユン・リー (河出書房新社)


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京マチ子のファッション in カンヌ

京マチ子の作品、一本も観てないな…。観ねばな。

猟犬 | ヨルン・リーエル・ホルスト(早川書房)

最近の私は早川書房ばっかり追いかけてる。


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ドイツ人特派員からのメッセージ

私は英語が訳せなかったので、日本語訳で読んだ。
国内にいると、なかなか見えないことがある。
ゆるやかな変化は、外部から来た人だからこそ見えたもの。
彼の意見は暖かく優しい。

曽野綾子発言

とりあえず曽野綾子氏は間違っている

曽野綾子氏の人種差別発言は各所で物議を醸しているが、このコラムには胸がすっとした。
シャープな物言いは斎藤環氏ならでは。曽野綾子に真っ向から反論するのではなく、彼女の置かれた立ち位置に対して異論を発している。

いきなり何事かと思われたかも知れないが、とりあえず曽野綾子氏は間違っている。彼女が2月11日付産経新聞に記したアパルトヘイト容認コラムのことだ。彼女はこう書いたのだ。「南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった」と。

なぜ日本のマスメディアはすぐに反応しなかったのか。これも現政権による言論統制の成果なのか。おそらくそうではない。今回のコラムは「あの曽野綾子氏」が、いかにも「あの産経新聞」に書きそうな内容だった。つまり“平常運転”なのでニュースバリューはなかった。もし曽野氏が「格差解消のために累進課税の導入を」などと発言したら一大ニュースだ。人が犬を噛(か)んだらニュースになる、とはそういうことだ。

私たちは世界にもまれなキャラ文化の住民だ。キャラの立った保守論客のトンデモ発言すらも、「ああいうキャラだからしょうがない」と笑い、「ツッコむだけ野暮(やぼ)」と免責する程度には寛大だ。しかしこれは、「立ったキャラ」の言動については責任能力を問わない、という意味で差別であり、キャラの人権の否定にほかならない。保守論壇人といえども人権は尊重されなければならない。私は曽野氏の人権の回復のためにも、メディアが彼女をキャラとして差別し消費することに、強く反対するものである。

(表現のまわりで)差別発言、キャラで免責 寄稿・斎藤環 | 朝日新聞(2015年2月24日)

南アフリカからみた曽野綾子発言

各所で話題になった人種問題についての曽野綾子発言。
三浦記者はこの発言に対する現地の反応をリポートした。
丁寧なリポートは必読。三浦記者のリポートはいつも読んでしまう。

あと、余談だけれど、ケープタウン大に通う日本人女性も記事内に登場する。
別に今の時代どこに留学するのも自由なのだけれど、ケープタウン大を選択した彼女に正直一種の眩しさも感じた。 学生時代に私もそういう選択をしてみたかった、と今さら思ったりした。

三浦記者のツイートをまとめたリンク。

三浦記者の実際の記事はこちら。
(@ケープタウン)南アフリカから見た曽野綾子さんコラム